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note.170 SIDE:G

 よ〜っし、こっから更にペース上げてくよ〜っ!! 残りもいよいよデカブツだけだしね!
 さっきの大技で周辺の地形がメチャクチャだけど、後ろはツキナが守ってくれてるし、私は空中だから問題はなし!

 手始めに《オーバーグライド》で突っ込むよーっ!……って、ぉわっとぉ、もうそこら中砕けた地面のガレキだらけで、奴の攻撃が地面に当たるたびにガレキが飛んできて、まともに近づけないじゃん!? 飛んできたガレキを足場に蹴りつつ後ろQBもかけて一旦仕切り直しっ。
 までも、足はもうまともに使えなさそうでさっきからずっと膝立ち状態から動かないから、横取っちゃえばコイツなんもできないっしょ。左、前の連続QBで側面に回っちゃえばいくらでも……っとわぁ!? 今度は身体を捻ってタックルみたいな体勢でボディプレス!? 奴に向き直っての後ろQBでガレキ共々回避っ! く〜、さすがにそこまで簡単にはいかないかぁ〜! しっかりこっちに正面を向けてデカブツが再び膝立ちに起き上がる……ついでに地面に手を突っ込んでちゃぶ台返しみたいにガレキを放り投げてきた!?
 うぇぁあ!? と、とりま正面に飛んできた一番デカいガレキをソードゴーレムで刻んで、盾で受けるっ! あっぶな〜、なんとかなったぁ〜……。一度砕けたおかげでガレキの一つ一つは脆くなってて助かったよ〜。そうでもなきゃ、実質この地面の岩盤を刻むなんて芸当、この程度のLvの装備でできるわけないからね〜。

 けどこれで、結果的には私が奴の左に回り込んでオグから見れば射線が開いて撃ち放題になったし、デカブツが暴れて今みたいなデカいガレキを取りこぼしても流れ弾が契約中のマイスの方に行っちゃうことはなくなったからオッケーだよね。射線が開いたオグも早速スキルを連打し始めたし、私ももう後ろを気にする必要もないっ! ガンガンいくよ〜っ!
 高度を上げて、改めての《オーバーグライド》! 合掌で叩き潰そうとしてくるデカブツの手を二段QBですり抜けて真っ直ぐ胸元に吶喊! か〜ら〜の〜《インパルスピアーシング》っ!! こーれは効いたっしょー! 今できる最速を乗せた最大火力スキルだもんね! これにはさすがのデカブツもかなり大きく後ろにぐらついたみたいだね。だけど、さすがにかったい! ガッツリ血が噴き出る程度の傷がついたぐらいのダメージは入ったみたいだけど、逆に言えばこれでもその程度ってこと。この森に住んでるはずの妖精ちゃんでも見たことない大きさって言ってたけど、いくらなんでも規格外すぎだよ〜!

 追撃に《バイティングファング》とソードゴーレムを突っ込ませて一旦後ろへ離脱っ。のけ反った反動を利用して両手で同時に振り下ろされたハンマーパンチで飛んできたガレキを距離を取って回避する。続けて、振り下ろしたその手でそれぞれガレキを掴んでぶん投げてきたのも右、左とQBを振って回避! むむぅ、奴もこのガレキ散弾が攻撃兼防御手段として有効と理解してるぐらいの知恵はあるみたいだねぇ。実際、ガレキがどう飛んでくるかは完全に予測不能だからなかなかに接近しづらくて厄介だよ〜!

 でも、こんな程度でひるんでなんかいられない! もう一度! 《オーバーグライド》っ! 奴がまたちゃぶ台返しでガレキを放り投げてくるけど、今回はデカい岩盤は混じってなかったから、いっそこのまま突っ切るよ! ガレキの雨をソードゴーレムも合わせた《トルネードダイブ》で弾いて、QBで突撃〜っ! ガレキ弾幕を抜けたら、回転はかけたまま刃を前に向けて、今度は二段で溜めて、もっぱつQB! 突っ込め〜っ、《スパイラルダイブ》!!
 ホントは落下の加速を乗せて真下に落ちるのが《スパイラルメテオ》だけど、《トルネードダイブ》の応用で横方向に突っ込むのがオリジナルスキルとして公開登録されてるこの《スパイラルダイブ》! ま、これぐらいは誰でも思いつく組み合わせだね。
 こいつでさっきの傷を更に抉ってやって……! うんうん、効いてる効いてるぅ♪

 反撃に奴が一つ咆哮してから、ボディプレスで潰そうとしてくるけど……さすがにやっぱり、ザックリ傷が開いた血塗れの胸元は庇いたかったのか、今回もタックルっぽい姿勢で肩から横倒しのボディプレスだったから、左の二段QBで回避は余裕だよ〜だ!
 おかげで後頭部がお留守だし、前QBで加速も加えて、両剣スキル《ダブルバッシュ》! 大きく振りかぶっての下の刃で左上から袈裟斬りからの、続けて動きを止めずに手元を回せばちょうど上段に構えた位置に来た上の刃で今度は右上からの袈裟斬りで、斬撃の音がほとんど一発にしか聞こえないぐらいの一瞬の×字二連撃! これもホントはウォーリアースキルだね。
 オグからもバッチリ《チャージング》を乗せた《スパイラルアロー》が刺さって、デカブツが頭を抱えて転げ回る。おっとと、これだけでも奴の巨体のせいで周りのガレキが飛び散るから、一旦上空に距離を取るよ。オグは安全圏からの射撃だから容赦なく追撃してるけどね〜。

 おわぁっと、デカブツも私の方が厄介とは思っているのか、転がるついでに腕を伸ばして裏拳を狙ってくる。ま、これぐらいはQBを使うまでもなくブースターでの移動だけで余裕の回避だね。それを最後に、転がりからデカブツが復活して起き上がる。
 だいぶ痛めつけてやったし、オグもかなりの数ぶち込んでるはずなんだけどなぁ……もう、いくらデカいからって、いい加減無駄に硬すぎ!

 起き上がったデカブツが、一つ咆哮を上げて拳骨を振り下ろす。けどこれ、明らか私を直接じゃなくて、地面のガレキを弾幕にすることを狙ってるね……! 一発ずつ地面に叩き付けられた拳からそれぞれ、扇状範囲にガレキと衝撃波が飛んでくる。これはー、扇状ならいっそ奴に向かって突っ込んじゃった方が避けやすいね。ってことで前QBで懐に飛び込む! って、え――

「っきゃあああっ!?」

 ――ちょちょちょっ、そんなデカい岩盤がまだ埋まってたの!? というよりは、今の拳骨で新しく砕いた!? 奴のあの巨体からしても盾ぐらいにはできそうなデッカい岩盤を、それこそちゃぶ台返しでもするみたいに跳ね上げてかち上げられた!? 扇状の衝撃波は接近させるための罠かぁ……! 《ルクス・ディビーナ》のバリアが一撃で割られて、奴の腰元辺りの高さから顔の真正面ぐらいまで錐揉みで吹っ飛ばされて、目が回るぅ〜!? 《ルクス・ディビーナ》はツキナがすぐかけ直してくれたけど、デカブツが間髪入れずに振り上げたそれをそのままもっかい振り下ろしてくる! なんとか体術とブースター操作で体勢を立て直して、ちょっとでも距離を稼ぎに後ろ向きに慣性を乗せながら一旦ブースターを切る。落下しながらQBで一気に反転して、ちょうど突き出たガレキを足場に蹴った加速も乗せながら《オーバーグライド》起動と一緒に二段QBっ! そんで、身体を捻って背面飛行に移りつつ、振り向きざまに振り下ろされてくる岩盤に向けて《ウェイブエッジ》! 手元を回して下の刃も使って二連! ついでにソードゴーレムからも《ウェイブエッジ》を撃たせて四連! 更にソードゴーレム自身も突っ込ませて、とにかく岩盤を少しでも砕くっ! 後は盾部分を上に翳して……受けるっ!!

「っくううぅぅあっ!! っがふ……っ!」

 な、なんとか盾で受けられたけど、そのまま背中から地面に叩き落されて、慣性のままにガレキを砕きながらメチャクチャになった地表を引きずるように吹き飛ばされて、最後にデカいガレキに背中からぶつかって、《ルクス・ディビーナ》のバリアが再び割れたガラスのようなエフェクトと共に、叩き付けられる衝撃……! よ、ようやく身体が止まったぁ……。っく〜……結果的にはギリギリノーダメージとはいえ、張り直してくれた《ルクス・ディビーナ》もまた割れちゃったし、土煙と叩き付けられた衝撃で咳き込んでしまうのまでは止められない。なかなかにやってくれんじゃん……!

 までも、これはこれでチャンスだね。奴はまだ土煙でこっちが確認できてないだろうし、ここからなら《オーバーグライド》の加速も十分乗せられる距離がある! 咳き込んだ息を整えながら、ちょっとふらつきながらになっちゃったけど立ち上がる。立ち上がったところで、ツキナが《ルクス・ディビーナ》をかけ直してくれたのがわかる。よーっし、いけるよー! ブースター起動! ぶつかった背後のガレキをカタパルト代わりに、《オーバーグライド》と、《クイックブリンク》も二段チャージして……。深呼吸。狙いは言うまでもなく、土煙の向こうに浮かび上がった奴のシルエット! いっ――けええぇぇぇっ!!

「りゃあああああぁぁぁぁぁぁあっ!!」

 《オーバーグライド》と二段QBの最大加速で、デカブツの首を獲りにいく。土煙に紛れての奇襲だったけど……さすがに警戒はされてたかぁ。奴もキッチリ反応してくる。どっちにしたってあとはもう真っ向勝負! 奴もそれはわかっているのか、仕掛けてきたのは拳のクロスカウンター! こっちも盾を前面に出しつつ、接触と同時に拳を受け流せるように構えておく。超集中のスローモーション状態の中でもみるみるうちに距離は詰まって、次の瞬間には拳が触れる――その刹那。

 ――全てが真っ白く光に呑まれた。


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