note.068 SIDE:G

 しばらくはまた、ミスティスが浮かせているマップとにらめっこしながら探索だ。
 そうして進んでいると、

「おっとストップ!」

 天地さんが急に待ったをかける。

「ふぇ?」
「あ、はい、なんです?」

 何事かと思えば、天地さんは床を指差して、

「そこ、ライトじゃ引っかからない高Lvトラップだな」
「えっ」
「どこどこ?」

 ミスティスと二人、指差された辺りの床に目を凝らすけど……う〜ん……さっぱりわからない……。

「あー……私もこっちのキャラじゃまだ罠師のLv足んないかー」

 ミスティスも見つけられてないみたいだね。

「んーじゃ正解は……そこっと」

 天地さんが床の1ヵ所に向けて銃弾を放つ。
 と、弾が当たった石レンガが、注意していないとわからないぐらいわずかに、だけどしっかりカチリと音をさせて沈み込み――
 「バカンッ!」とそこを中心に床が開いて……落とし穴!?

「わぁ!?」
「ひっ!?」

 あ、あともう1歩2歩進めばミスティス共々穴の底だった……。
 それぐらいギリギリだった僕らの立ち位置に二人して悲鳴を上げて、僕は思わず尻餅をついて、ミスティスは後ろに飛び退く。

「おぉぅ……なかなかにエグい……」

 撃った天地さんもちょっと引いていた。

 数秒の間を空けて、床はゆっくりと元通りに閉じる。
 えーっと……天地さんが撃ったのどこだっけ……?
 これ越えて進まなきゃなのにスイッチの位置が見えないのがすごい怖いんだけど!?

「今スイッチどこでしたっけ……?」
「あー、まぁ、あれだ、今撃った真ん中の1ヵ所しか引っかかるとこないから、端っこ歩けば安全だぜ」
「あぁねー」
「なるほど、了解です」

 壁際からちょいちょいと手招きしてくれる天地さんに従って、道の中央を避けて通る。

「うん、もう通り過ぎたぞ」
「ふぅ……」

 少し進んで、落とし穴の位置は通り過ぎたみたいで、ほっと一息つく。
 う〜ん……こんなのがこの先もあるとなると……

「ちょっとこれだと罠が見えないのが怖すぎるんですけど、罠師のLvってどうやって上げるんですか?」
「そりゃまぁ普通に見える罠見つけていけばいいんだけど、見えてなくても罠を解除したり回避するだけでも経験値入るから、まぁしばらくは罠の位置はうちが教えるさ。ちゃんと引っかからずに避けて通ってればその内見えてくるんじゃないかな。見たとこ、ライトには引っかからないけど、そうLvが高すぎるわけでもないし」
「わかりました、お願いします」
「私もしばらく一緒に罠師のレベリングかー」

 そんなわけで、先頭を天地さんに進んでもらうことにして、恐る恐るマッピングを再開する。
 とは言え、天地さんの誘導が的確だから、最低限の警戒はあれど、それほど怖くはないね。

 遭遇するゴーレム改を倒しつつ、分かれ道は適当に多数決したりじゃんけんしたり、その場の気分で決めて気ままに進んでいく。
 一応、おそらくスタート地点もゴールも部屋の中心線上にあるだろうと推測して、スタート地点の階段の延長線上をあまり外れないように、という大雑把な方針だけは決めてある。

 と、正面からゴーレムがまたやって来るのが見えるね。
 またゴーレム改かな?
 ……と思ったんだけど……

「ゴーレム……type2……?」
「や、あの、ごめん、改と何が違うのこれ」
「さぁ……」

 三者三様に困惑する。
 うん、みんなそう思うよね……何これ。

「とりまやってみよー」

 ひとまずミスティスがいつも通り挑発。
 飛び込んで、右ストレートを盾で受ける。
 すると、右腕を引き戻すその腰の動きを使って、続けて左腕からもストレートパンチが飛んできた。
 二連撃のパンチで、ミスティスがかなり大きめにノックバックさせられる。

「……type2だったね」
「おぉぅ、なるほどタイプ2だね」
「んむ、こりゃ確かにtype2だわ」

 三者三様に納得する。
 これは間違いなくtype2で合ってるね、うん。

 さて、それはともかく……。
 何やら攻撃パターンが違うらしいので、少し様子見が必要かな?
 ミスティスがもう一度ゴーレムへ飛びかかる。
 対するゴーレムは、両腕を横に広げて……腰を軸に上半身が一回転した!?

「っ! ……っと!」

 ラリアットのように横薙ぎで飛んできた腕の打撃を、しかしミスティスはそれに逆らわず、空中でもしっかりと盾で受け止めて、飛ばされるままに横に流される。
 そうして飛ばされた反動を使って壁を蹴ってピアシングスラストを起動、タゲが固定されているせいかミスティスの方を向いて止まったゴーレムの上半身の、右肩口に向けて突っ込む。
 これで右腕が落ちた。
 けど……あれ?改と違って、肩から胸の接続が可視化されない?
 単に見えなくなったのか、それともこれは……
 それを確かめようと思う前に、ゴーレム自身が答えを示してくれた。

 核を塞いでいた岩が、頭の位置に持ちあがった……?
 次の瞬間、ゴーレムは一旦腕を降ろして棒立ち状態になると、キラリと核を光らせて……なるほど、トルーパーが使ってきたレーザーだね。
 またも腰を軸に、さっきと逆向きに上半身を一回転させて、ミスティスを巻き込むような射線で全周にレーザーを照射した。

「おわぅ!?」

 ミスティスはなんとか盾で受けたみたいだけど、横薙ぎにされた分、盾から漏れた分で少しダメージはあったみたいだね。

「あー、まぁトルーパーが撃てるんだから撃てるゴーレムもそらいるわな。《ヒール》 《プリズムシールド》」
「ありとー」

 天地さんがミスティスを回復する。
 プリズムシールドはルミナスシールドの魔法版、「魔法耐性」を上げるフォースの中級聖術だね。

 さて、ともあれ、肩の接続が見えない理由はこれでわかったね。
 レーザーを撃ち終わって、ゴーレムの頭が再び核を塞ぐ。
 ということは、つまり……

「つーとまぁ、そういうことだいなっと。……ビンゴ!」

 天地さんがパワーシュートを首筋の関節に撃ち込んでみると、思った通り、魔力が弾けて頭の岩が落ちる。
 やっぱりね。
 レーザーを撃てるように核を開閉式にした結果、関節の配置は通常版のゴーレムと同じに戻ってるんだ。

 核の守りを失ったゴーレムが、残った左腕で核を隠そうとするけど、

「させないよーっと〜」

 懐に飛び込んだミスティスが、上向きワイドスラッシュで左肩口を切ってしまう。
 これでもう核は隠せないね。
 すかさずブレイズランスを撃ち込んで、撃破完了だ。

「ナイッス〜」
「んぬー、まこんなもんか」
「ですね」
「だね〜」

 攻撃パターンは増えて強化されてるけど、ゴーレムはゴーレム、という感じかな。
 見た目はほぼ一緒だから、名前をきちんと見ないと改とtype2でややこしいけど、そこさえ気を付ければ今の僕たちに特に問題はなさそうだね。

 さてさて、それじゃあ探索続行かな。


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